ラジオ「金曜もうたぁしょう」 CA秘話を「教えてさったん」コーナーで紹介①


金曜もうたぁしょう 

1.元オリンピック金メダリストの太っ腹対応

 CA時代の私は、国際線を飛んでいました。国際線の醍醐味はなんと言っても沢山のお客様にお目にかかり、ステイタイムの楽しい思い出があります。


国際線は特別なことではなく、大手航空会社のメイン路線は国際線。飛行機に乗ってしまえば国境を越えることは、それほど難しいことではありません。機内の英会話も業務に沿ったもので、難しいことはありません。


ただ、それからお客様と話を膨らませるのは本人次第。これは言葉の壁というよりは、個々に持つコミュニケーション能力にかかっているかもしれません。


 そんなある日、あの方がご搭乗されました。因みに私は学生時代にスポーツをしていましたので、アスリートにお目にかかるのはとても光栄で一段と仕事へのモチベーションがアップしました。


バルセロナオリンピック(1992年スペイン バルセロナ開催) 金メダリスト

「平成の三四郎」古賀 稔彦様がお越しになりました。

個人的には年齢が偶然にも同じだったので、とても身近に感じていましたし、

膝をケガしながらも金メダルを取ったのは、本当に素晴らしいと思っていた矢先でした。

バルセロナオリンピック 金メダルの瞬間 古賀 稔彦 様


 もちろんご搭乗された時から、乗務員間では「古賀選手が乗っていらした!」と

情報を共有し、古賀様のプライベー時間間確保とゆっくりお過ごしいただけるように

しておりました。

オフィシャルでは、そのようにしていたものの、乗務員も人の子!で、

もちろんチャンスあればお声がけしたいと思っていましたよ。


  幸運にも私にもその瞬間がやってきました!機内販売をしていたときです。

古賀様は当時、ご婚約をしたばかりでした。それで、このようにお声がけさせて頂いたのです。

さったん

機内販売を致しております。将来の奥様に何かお土産はいかがでしょうか?

古賀様

はい、お願いいたします。

 

爽やかな香りの香水が新しく入荷されました。
香りのサンプルもございますので、お試しになって
決められたらいかがでしょうか?

古賀様

はい、お願いします。


古賀様は、お返事だけであまりお話にはなりませんでした。

私はまだ飛び始めて4年目ぐらいの時でしたので、今から考えられないほど初心で、

純粋だったと思います。

私も言葉少なで(今からすると信じられませんが)素敵な一品をと思っていました。

その時です。いつの間にか、どこから現れたかわからないのですが、

3人ほど大先輩が背後に控えていました。そしてつかさず、こうお勧めしていました。

先輩

他にもいろいろな香りがございますので、比較されてみてはいかがでしょうか。奥様はどのような感じの方ですか。

古賀様

あっ、はい。。。

そうして、先輩たちは次から次へと香りのサンプルを古賀様の鼻元へ。。。


あまりいい形容ではありませんが、子羊(古賀様)に群がるハイエナ(先輩たち)のようでぞっとしました。


私は内心、匂いばかりかがされると、頭痛がするのではないかと心配でした。

個人的に香水が大好きな私であっても、2種類以上の香水を嗅ぐと頭痛がします。

男性なら尚更だと想像しました。それで先輩にやんわり言いました。

さったん

お好きな香りがお決まりのようですので、一品でよろしいのではないでしょうか。。。

先輩

しっ!いいから!色々買って頂いた方がいいでしょ!

結局、ほとんどの香りを嗅がされてしまったようです。


古賀様の鼻の感覚が心配でなりませんでした。

しかしその後の口にされた言葉に、平成の三四郎の太っ腹を感じ、感激してしまいました。

古賀様

それでは、全部ください。

さったん

\(◎o◎)/😲 😲 😲 ほんとによろしいのでしょうか。。。お気に召された香水一品で良いと思いますよ。
私共への気遣いはいりませんので。。。


そこで先輩がつかさず耳元で、

先輩

余計なこと言わなくていいからっ!


このときは、本当にぞっとしました。怖かったです。。。これが社会ってものなのか??
とても短い瞬間ではありましたが、自問自答したのを今でも覚えています。

さったん

古賀様、本当によろしいのでしょうか。

古賀様

はい、全部ください。


さったん

かしこまりました。お買い上げありがとうございました。
将来の奥様はとてもお喜びになると思います。
(凄い!大人買いされちゃった。。。)

2.人の本質はちょっとしたときに分かる

国際線のフライトタイムは長いときには12時間以上まで長くなります。

時計の短針が一回りする間ご一緒致しますので、お客様の素の部分を

垣間見ることが多々あります。

そんなときに、その方の本質や価値観が如実に見られます。もちろん乗務員側も

見られることになります。

とくに著名方も客室乗務員も、期待を込められて世間の目にさらされています。

立ち居振る舞いは本当に気をつけたいものです。


プライベート空間をお作りする立場の乗務員たちは、時々そんな皆様の本音を

知ることができます。(もちろんその逆もあり、私たちの本音も見られてしまうことがあります。)

根本的な本質を知るきっかけになることとして機内では

①お食事の時

②お金を支払う時(機内販売など)

どちらも生きていく上で大切なことであり、小さい頃からの環境やご両親の影響を大きく受けていることも

あります。

そうした意味では、古賀様の太っ腹は、本当に昭和の男子であり、凄いとしかいいようがありません。

もちろん、大人買いされたから凄いのではなく、そのときの空気を読んでの行動だったと思います。

可愛い子羊に群がるハイエナのような乗務員の気持ちを収めるためにも、

そのような行動をとって下さったと想像します。私は逆に、このような販売の仕方はするべきではないと、

良い教訓になりました。

因みに、機内では何人か太っ腹のお客様にお目にかかりましたが、皆様昭和の時代に活躍された方ばかりです。